茨城県北部、那珂郡(なかぐん)にあった旧町名(山方町(まち))。現在は常陸大宮市(ひたちおおみやし)の北東部を占める一地区。1947年(昭和22)町制施行。1955年諸富野(もろとの)、下小川(しもおがわ)、世喜(せき)、塩田(しおた)4村の各一部を編入。2004年(平成16)、美和村(みわむら)、緒川村(おがわむら)、御前山村(ごぜんやまむら)とともに大宮町に編入(大宮町は市制施行して常陸大宮市となる)。旧町域は、久慈(くじ)川を挟んで八溝(やみぞ)山地と久慈山地をもつ山間地域。JR水郡(すいぐん)線と国道118号が通じる。長く佐竹氏が支配し、近世は水戸藩領。南郷(なんごう)街道の宿場として、また久慈川と那珂川の各水運を結ぶ河岸町(かしまち)として栄えた。肉牛飼育が多く、コンニャク、ソバ、シイタケ、和紙や砕石、砂利、木材の産がある。古い起源をもつ西の内紙(手漉(す)き和紙)は、工芸技術として国の選択無形文化財となっている。江戸後期、コンニャクの粉末化技術を開発した中島藤右衛門の出生地(旧、諸沢(もろさわ)村)。奥久慈県立自然公園に属し、キャンプ場、淡水魚館がある。
[櫻井明俊]
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