突発性発疹症(読み)とっぱつせいほっしんしょう(その他表記)Exanthem subitum (Roseola infantum)

六訂版 家庭医学大全科 「突発性発疹症」の解説

突発性発疹症
とっぱつせいほっしんしょう
Exanthem subitum (Roseola infantum)
(子どもの病気)

どんな病気か

 乳児期後半に多発する急性ウイルス性疾患で、3~4日間の発熱のあと、解熱とともに麻疹(ましん)風疹(ふうしん)のような発疹が現れる病気です。

原因は何か

 ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)という水痘(すいとう)と同じグループのウイルスが原因です。季節的流行はなく、生後6カ月から1歳までに発症のピークがみられます。感染経路はHHV6抗体陽性の成人(おそらく母親と父親)の唾液中のウイルスによる水平感染が考えられています。潜伏期は約10日です。

症状の現れ方

 図48に臨床経過を示します。突然、39.0℃以上の高熱が出て3~4日前後持続し、解熱とともに発疹(麻疹様、風疹様)が顔面胴体を中心に現れます。発疹は四肢末梢に広がり、1~2日で消えます。熱のある時期には下痢(せき)眼瞼(がんけん)(まぶた)が浮腫(ふしゅ)状(むくんだよう)になることなどもあります。高い熱のわりに、患児の機嫌はそれほど悪くならないことも特徴です。発熱期に大泉門膨隆(だいせんもんぼうりゅう)けいれんを生じることもあります。

検査と診断

 診断に検査を必要とすることはありません。好発月齢(生後6カ月前後)、高熱のわりに機嫌のよいこと、発熱と発疹の関係、浮腫状の眼瞼などが診断の手がかりになります。

治療の方法

 HHV6の特効薬はなく、対症療法だけになります。

病気に気づいたらどうする

 生後初めての高熱のため、母親の驚き、心配は大きいようですが、予後の悪い病気ではないので、それほど心配はありません。水分補給は大切です。

浅野 喜造


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「突発性発疹症」の意味・わかりやすい解説

突発性発疹症
とっぱつせいはっしんしょう
exanthema subitum

小児バラ疹。乳幼児の急性発疹性感染症で,病原体はウイルスと考えられている。好発年齢は生後5~6ヵ月から2~3歳までで,前駆症状なしに突然,高熱で発病する。その際に嘔吐やけいれんをみることがある。 39~40℃の熱が3~4日続いたのちに急に解熱し,同時に紅斑が顔面,頸部,胸から全身に広がる。紅斑が出るとともに回復期に入り,発疹は一両日中に消失する。予後は良好で,対症療法で治癒する。

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