立て遣す(読み)タテマダス

デジタル大辞泉 「立て遣す」の意味・読み・例文・類語

たて‐まだ・す【立て遣す/遣す】

[動サ四]使いや物などを差し上げる。
天皇崩かむあがりましたりと聞きて弔使とぶらひを―・せり」〈皇極紀〉
[動サ下二]に同じ。一説に、さしあげさせるの意かとも。
「まぼりもの―・せむ」〈宇津保藤原の君〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「立て遣す」の意味・読み・例文・類語

たて‐まだ・す【立遣・奉遣】

  1. ( 「たてまたす」とも。動詞「まだす」の上に、「出発させる」意の動詞「たてる(立)」の連用形「たて」の付いたもの )
  2. [ 1 ] 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 下位から上位へ、使いや物をおくる意の謙譲語
    1. 使いを差し出す。人をさしあげる。
      1. [初出の実例]「百済の国、天皇崩りましたりと聞りて、弔使を奉遣(タテマタ)せり」(出典日本書紀(720)皇極元年正月(岩崎本平安中期訓))
    2. 物などをさしあげる。
      1. [初出の実例]「ひとのもとへよみたてまたすとてよみける」(出典:阿波国文庫旧蔵本伊勢物語(10C前)八〇)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙 [ 一 ]に同じか。一説に、さしあげさせる、の意とも。
    1. [初出の実例]「御まぼり物たてまだせん」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)

立て遣すの補助注記

「たてまつる(奉)」と同性質の語か。「まだす」「たてまだす」は中古前期ごろの特殊な語だったと思われる。

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