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宇津保物語 うつほものがたり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宇津保物語
うつほものがたり

平安時代中期の物語。作者は源順 (したごう) とする説が有力。 20巻。 970年代頃成立とされる。物語は,清原俊蔭,その娘,藤原仲忠,犬宮の4代にわたる霊琴にまつわる音楽霊験談と,源雅頼の娘の貴 (あて) 宮を主人公とする物語がからみ合って展開する。琴の物語が伝奇的であるのに対して,貴宮の物語はさまざまな求婚者の描写や「国譲」の巻の政争の記述などにおいて写実性が顕著。個々の登場人物や年紀に矛盾撞着する個所があり,また巻の順序がテキストによって定まらず,解決できない乱れがあるなど,完成した作品とはいえない面もある。これは別途に書かれた短編物語を集成縫合して長編物語とした結果とされる。しかし,鋭い現実批判を盛込んだ日本最初の長編物語として,『源氏物語』より高く評価しようとする人もある。

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デジタル大辞泉の解説

うつほものがたり【宇津保物語】

《「うつぼものがたり」とも》平安中期の物語。20巻。作者未詳。源順(みなもとのしたごう)とする説もある。村上天皇のころから円融天皇のころに成立か。4代にわたる琴(きん)の名人一家の繁栄と、多くの青年貴族から求婚される貴宮(あてみや)が東宮妃となり、やがて皇位継承争いが生じることなどが描かれている。書名は、発端の「俊蔭(としかげ)」の巻に仲忠母子が木の空洞に住む話のあるのにちなむ。

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百科事典マイペディアの解説

宇津保物語【うつほものがたり】

平安中期の作り物語。成立は10世紀後半と推定され,源順(みなもとのしたごう)作とする説もあるが明らかではない。4代にわたる琴(きん)の秘曲伝授を中心に貴宮(あてみや)をめぐる求婚や政争などを描き,架空物語の《竹取物語》と現実的な《源氏物語》の中間的位置にある物語として注目される。
→関連項目松浦宮物語

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世界大百科事典 第2版の解説

うつほものがたり【宇津保物語】

平安中期(10世紀末)の作り物語。作者は古来の源順(みなもとのしたごう)説が有力。〈うつほ〉には〈洞〉〈空穂〉をあてることがある。初巻に見える樹の空洞に基づくもの。
[あらすじ]
 清原俊蔭は王族出の秀才で若年にして遣唐使一行に加わり渡唐の途上,波斯(はし)国に漂着,阿修羅に出会い秘曲と霊琴を授けられて帰国し,それを娘に伝授する。俊蔭の死後,家は零落,娘は藤原兼雅との間に設けた仲忠を伴って山中に入り,大樹の洞で雨露をしのぎ仲忠の孝養とそれに感じた猿の援助によって命をつなぐ。

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大辞林 第三版の解説

うつぼものがたり【宇津保物語】

物語。二〇巻。平安中期成立。作者未詳。一説に源順作とする。琴きんの名手清原俊蔭一族の物語と、貴宮あてみやをめぐる求婚物語、および皇位継承争いの話からなる。やや統一を欠くが現存最古の長編小説であり、後半の写実的傾向は源氏物語に至る過渡的性格を示すものとして重要。うつほものがたり。

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世界大百科事典内の宇津保物語の言及

【舞人】より

…本来は舞楽(ぶがく),大和舞(やまとまい),東遊(あずまあそび)などの演舞者を指す。《宇津保物語》の〈俊蔭〉に,〈賀茂に詣で給ひけるを,舞人(まいびと),陪従(べいじゆう)例の作法なれば〉とあり,楽を奏する陪従と対に記す。とくに外来系の舞楽装束を唐(とう)装束というのに対し,東遊,大和舞など国風(くにぶり)の舞楽装束を舞人(まいにん)装束と称する場合があり,その演者をとくに舞人と呼ぶ。…

※「宇津保物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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