竜猛(読み)りゅうみょう

改訂新版 世界大百科事典 「竜猛」の意味・わかりやすい解説

竜猛 (りゅうみょう)

インドの仏教哲学者。150-250年ころの人。サンスクリット名ナーガールジュナNāgārjuna,竜樹とも訳される。大乗仏教の基礎を築き,中国,日本における八宗派の祖ともいうべき竜樹と同一人物とされ,とくに密教の方面で竜猛と呼ばれ,密教を初めて世に流布させた人として尊重される。ただし,歴史的には密教の成立は7世紀ころとされるから,その時期に同名異人が存在したとする説もある。不空が著した《金剛頂義訣》によれば,竜猛は大日如来の真言を誦持して,封鎖された鉄塔を7日間めぐり,7粒の白芥子を塔の門戸に投げつけてみごとにその塔の扉を開け,塔内の諸仏菩薩から,密教の根本聖典である《金剛頂経》を授けられた。これが世に密教が伝えられたはじめとされている。竜猛が密教に関して残した著作と伝えられるものには《発菩提心論》1巻と《釈摩訶衍論(しやくまかえんろん)》10巻がある。
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