日本大百科全書(ニッポニカ) 「竹人形」の意味・わかりやすい解説
竹人形
たけにんぎょう
竹でつくった人形。おもに淡竹(はちく)(細い竹)を材料にしたものが多い。全国各地の竹の産地などにみられ、観光土産(みやげ)品としてつくられているのがほとんどである。古くからの竹細工の製作技法に、それぞれの創意工夫を加えたりしたもので、佐渡おけさ人形(新潟県)、遠州見付(みつけ)裸祭り人形(静岡県磐田(いわた)市)、越前(えちぜん)竹人形(福井県)、大田の臼搗(うすつ)き人形(島根県)、鳴門(なると)の阿波(あわ)踊竹人形(徳島県)、別府の竹人形(大分県)などがあげられる。越前竹人形は福井市産の民芸玩具(がんぐ)で、福井県出身の作家水上勉(みずかみつとむ)の小説『越前竹人形』にちなんでつくられた。また歌舞伎(かぶき)狂言、能楽、永平寺の僧房生活などの風俗的なものを扱った作品もあり、種類が多い。大分県別府の竹人形は名産の竹を応用したもので、三番叟(さんばそう)や各種の猿物、馬などが温泉土産用としてつくられている。同県竹田(たけた)市には大正末期ころまで竹田人形とよぶ竹人形があった。別府製はこの系統に属している。
[斎藤良輔]