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米国自動車メーカーの両面戦略 べいこくじどうしゃめーかーのりょうめんせんりゃく

知恵蔵の解説

米国自動車メーカーの両面戦略

米国の両面戦略とは、(1)乗用車でトヨタ生産方式を学びつつ、(2)ライトトラックで利益を稼ぎ出す、というものであった。つまり、1980年代から90年代前半、米国ビッグスリーは小型乗用車の分野で「リーン生産方式」(≒トヨタ生産方式)を徹底的に学習し、不得手な組織能力や裏の競争力(消費者の目に見えない競争力、たとえば「組立生産性」「製品開発生産性」について、あくまで「部分的」にではあるが日本キャッチアップを達成した。と同時に、ミニバン、SUV(Sports Utility Vehicle)、ピックアップトラックなど、ライトトラックと呼ばれる乗用車型トラックの開発と生産にも力を注ぎ、ここで乗用車の2倍の利益率を得ていた。まさに「両面戦略」である。 日本の自動車業界には米国におけるライトトラックという車種区分はない。日本自動車業界は、米国のミニバン、SUVタイプの車種をRV(Recreational Vehicle)と名付けた(日本自動車工業会で初めてRVの定義が示されたのは「RV市場の現状と今後の動向」〔1993年3月〕という報告書の中である)。RVタイプのクルマは米国での開発が日本より早かった。ミニバンコンセプトのクルマを最初に開発して市場投入したのはクライスラーである。米国がライトトラックを主力にして自動車景気を回復した92〜93年ごろは日本では乗用車に占めるRV比率は13%しかなかった(この時米国のライトトラック比率は40%)。日本はRV系(米国ライトトラック系)のクルマの開発については米国に5年程度の後れを取ったのである。

(大鹿隆 東京大学ものづくり経営研究センター特任教授 / 藤本隆宏 東京大学大学院教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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