糸繰歌(読み)イトクリウタ

デジタル大辞泉 「糸繰歌」の意味・読み・例文・類語

いとくり‐うた【糸繰(り)歌】

民謡で、糸を紡ぎながらうたう仕事歌。糸取り歌。糸引き歌。紡ぎ歌。

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精選版 日本国語大辞典 「糸繰歌」の意味・読み・例文・類語

いとくり‐うた【糸繰歌】

  1. 〘 名詞 〙 糸を紡ぐとき、糸繰車の回る調子に合わせて歌う歌。糸取歌糸引歌。紡ぎ歌。

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改訂新版 世界大百科事典 「糸繰歌」の意味・わかりやすい解説

糸繰歌 (いとくりうた)

煮た繭を糸車に掛けて糸を取る作業にうたう労作歌。綿から糸を糸縒(いとより)車に掛けて取るときにもうたい,糸縒歌,糸取歌,糸引歌などともいう。また,歯車仕掛で取っ手をまわしながら糸枠に糸を巻く座繰ざぐり)機の発達から,これを使いながらうたう女工たちの座繰歌が生まれたが,機械化がすすむとともに衰退した。古い歌ほどテンポがゆるやかで〈糸は正直だよむらから切れる むらが無ければ切れやせぬ〉(群馬県勢多郡)ともうたわれ,また近代製糸工場では過酷な労働に泣く女工たちが〈糸や切れるな 座繰よ回れ 晩の仕舞が遅くなる〉(同地方)などの文句をうたった。古い糸繰りの風俗は歌舞伎踊や,沖縄の古典舞踊の《綛掛(かせかけ)》などに取り入れられている。
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