…紙屋ともいう。紙すきの技術者である造紙手(《養老令》では4人)と,その下で働く紙戸(紙すきのために人を出す戸で,山背国の50戸。品部の一種)の戸ごとに1人出される丁によって構成されていた。…
…朝廷の図書・仏像・仏具・経典の保管,国史の修撰,書籍の書写・校正・製本,諸官庁で使用する紙・筆・墨などの文房具の製造と供給を任務とする。頭,助,大允,少允,大属,少属各1人の事務官と,写書手20人,装潢(そうこう)手4人,造紙手4人,造筆手10人,造墨手4人の技術指導者を擁し,紙すきに従事する紙戸50戸が付属する。大同年間(806‐810)に別所として紙屋院(かみやいん)と称する紙すき場が置かれたが,律令制の衰退とともに,紙屋院での紙すきのみは,図書允を世襲した栂井(とがのい)家と図書属を世襲した小佐治家が紙漉座を結成して行ったが,それも地方製紙業の発達によりすたれた。…
…中央の役所や大寺院に供給する紙を漉き,地方の技術指導にも役を果たしていたのが,図書寮紙屋院に代表される官営の工房であった。紙漉きの忙しくなる冬季(10~3月)には,この紙屋に紙戸と呼ばれる近郊の貧しい農民が大勢手伝いに出ることになっていた。また図書寮の造紙手や造紙長上の役の人々に,秦氏を名のる人々が圧倒的に多いことが指摘されており,日本への紙漉きの伝来と関連して興味ぶかい。…
…令制下になると,大化前代の職業部の一部を解放せず,諸官司に配属し特殊な労働や製品の貢納を義務づけた集団を品部とした。この内には図書寮紙戸(しこ)(借品部),雅楽寮楽戸(がくこ),造兵司雑工戸(ざつこうこ)(爪工・楯縫・幄作),鼓吹司鼓吹戸(つづみふえへ),主船司船戸(ふなべ),主鷹司鷹戸(たかかいべ),大蔵省狛戸(こまべ),漆部司漆部(ぬりべ),織部司染戸(そめへ),大膳職雑供戸(ざつくこ),大炊寮大炊戸(おおいべ),典薬寮薬戸(やくこ)・乳戸(にゆうこ),造酒司酒戸(さかへ),園池司園戸(そのへ),土工司泥戸(ぬりへ),主水司氷戸(もひとりへ)等があり,大宝令の官員令別記によると総数は借品部の紙戸を含めて2107戸,品部と明記されないが品部とみなすべきもの380戸,合計2487戸にのぼる。その居住地は畿内とその近国に限られる。…
※「紙戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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