細孔内拡散(読み)サイコウナイカクサン

化学辞典 第2版 「細孔内拡散」の解説

細孔内拡散
サイコウナイカクサン
pore diffusion

分子が,固体粒子の細孔を通って内部へと拡散する現象.固体触媒は一般に多孔質であり,触媒反応に有効な表面は大部分細孔壁表面として固体粒子内部に存在するので,反応物質はこの細孔内を拡散によって移動しなければならない.触媒表面の反応速度が大きくなると,粒子内部まで拡散する前に細孔の入口に近い表面で反応してしまい,内部表面の寄与は小さくなる.すなわち,触媒有効係数が小さくなる.反応温度を低温からしだいに上げていくと,低温側では有効係数が1.0に近く,見掛けの活性化エネルギーは反応にもとづく値を示すが,高温になると,有効係数が1.0より小さくなり,見掛けの活性化エネルギーはこの値の約1/2になる.このような状況下では,見掛け反応速度は拡散係数や細孔径に依存する.また,細孔内拡散速度が小さいときには,反応生成物が逐次的に反応する機会が増す.酸化反応のように中間生成物が目的生成物である場合には,逐次反応を避けるため,細孔径を大きくとる必要がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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