細胞伸長(読み)さいぼうしんちょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「細胞伸長」の意味・わかりやすい解説

細胞伸長
さいぼうしんちょう

植物の茎頂や根端の分裂組織にある細胞は、細胞分裂環に沿って分裂を繰り返すが、やがて、分裂環から外れて細胞成長を始める。細胞伸長とは、この細胞成長がおもに縦軸の方向へ伸長する現象をいう。細胞伸長は、原形質の増加や細胞壁の拡大を伴うが、細胞内には液胞が発達し、細胞液で満たされてくる。また、核のDNA含量も増加して倍数体核をもつようになる。こうした細胞伸長は、細胞壁の伸展性が高く、細胞の浸透圧的な吸水による細胞容積の拡大が可能となることによっておこるものである。一方、細胞伸長と同時におこっている細胞壁の合成(主としてセルロースの増加)によって、細胞壁はやがて堅くなり、伸展性を失い、その結果、細胞伸長は停止していく。なお、植物ホルモンであるオーキシンは、細胞壁の伸展性を増加させる作用をもっている。

[勝見允行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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