植物細胞の中央の空間の大部分を占めている含水量の高い部分。厚さ7ナノメートルほどの膜(液胞膜)で囲まれていて、内部の液体は細胞液とよばれる。細胞液には無機塩、有機酸、糖、アミノ酸、アルカロイド、フェノール、各種の色素などさまざまな低分子物質が溶けているが、そのほかにタンパク質や多糖質のような高分子の物質も含まれている。
生きている細胞に中性赤という色素を与えると、積極的に取り込まれて液胞にたまり、液胞だけが濃い赤色に染まる。細胞が死んでいると液胞以外の部分が染まる。このため、この方法は細胞内の液胞の同定に、また細胞の生死の判定に利用される。さらに、中性赤は水素イオン濃度指示薬なので、液胞が着色したときの色調から液胞内の水素イオン濃度が推察される。それによると液胞内は普通は弱酸性を呈していることがわかる。
液胞膜は細胞膜とともに半透性をもっているうえ、細胞液の浸透圧は植物細胞が通常接している外液よりも高いので、細胞はこの浸透圧差に相応した吸水力をもち、膨圧を現す結果となる。この吸水力と膨圧は植物細胞の生理にとって、またその外形の維持にとってきわめて重要な意義をもつ。
液胞中のタンパク質には各種の加水分解酵素があり、液胞は細胞内消化の役割を果たしている。この意味で動物細胞のリソゾームと相同の細胞内構造体である。
[佐藤七郎]
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