綏徳(読み)すいとく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「綏徳」の意味・わかりやすい解説

綏徳
すいとく / ソイトー

中国、陝西(せんせい)省北東部の県。楡林(ゆりん)市に属する。常住人口36万5238(2012)。黄河(こうが)の支流である無定河(むていが)の中流黄土(こうど)丘陵地帯にあり、産業は雑穀、豆類と牧畜を主とする伝統的な農業が中心で、工業化は遅れている。古くから北方異民族と漢民族の接触地帯で、漢代に膚施(ふし)県が置かれ上郡(じょうぐん)の治所とされたのも、匈奴(きょうど)に対する防衛基地としてであった。歴代、上州、綏州、綏徳軍などと名は変わっても、楡林と並んで陝西北部の北方防衛のための重鎮であった。秦(しん)の始皇帝の子扶蘇(ふそ)(?―前210)、秦の将軍蒙恬(もうてん)の墓と伝えられる遺跡がある。

[秋山元秀・編集部 2017年7月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android