縦割り行政(読み)たてわりぎょうせい

百科事典マイペディア 「縦割り行政」の意味・わかりやすい解説

縦割り行政【たてわりぎょうせい】

個々行政事務の処理・遂行にあたり,各省庁間の横の連絡・調整がほとんどなく,それぞれが縦のつながりだけで行われている日本の行政のありかたをいう。そのため,類似した行政が別々の機関で行われ,手続きが二度手間になったり,行政機関同士の綱引きで行政事務が変更になったりする弊害が生まれている。こうした弊害を改めるため,1983年の第2次臨時行政調査会の基本答申でも,行政全体の総合的な調整を図る必要性が提言された。その結果1984年に総理府本府の大半行政管理庁を統合した総務庁をあらたに発足させ,行政の適正化と調整が進められたが,十分な改善がなされなかった。そこで1993年の第3次行政改革審議会の最終答申で改めて縦割り行政の是正が提言され,行政機構の整理統合が行政改革の大きな課題として取り上げられた。

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知恵蔵 「縦割り行政」の解説

タテ割り行政

日本の中央地方関係の特徴とされるもので、中央も地方も、行政機関の横の連携は悪く、中央の諸官庁が、地方自治体のそれぞれの関連部門に指揮命令を与えることが、中央地方関係の最も重要な側面であるとされる。個別補助金、通達が調整のないまま、タテ割りで下りてくるので、地方行政は分断され、合理的な調整、統一的な施策の形成や執行を困難にしていると主張される。しかし、タテ割り行政は、単なる官僚制内における法的権限管轄争いにとどまるものではなく、権力の多元的構造の反映と見ることもできる。2001年に行われた省庁再編は、省庁数の半減によってタテ割り行政の弊害が減少すると期待される半面、巨大省が諸事項の調整に適しているかどうかは未知数である。むしろ、調整の不透明化を心配する見方、国土交通省など巨大省庁の出現による強力な地方統制を危惧する声もある。

(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)

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世界大百科事典(旧版)内の縦割り行政の言及

【国庫支出金】より

…第3は,国庫支出金は中央政府の地方公共団体に対する指揮監督を伴うため,地方自治の観点から望ましくないという問題である。また,国庫支出金は地方公共団体の各部局と中央政府の各省庁との結びつきを強め,いわゆる〈縦割行政〉をもたらしがちとなる。【富田 俊基】。…

※「縦割り行政」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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