繁殖貸与
はんしょくたいよ
breeding loan
動物園などで,繁殖を目的として動物を貸し借りする制度。ブリーディング・ローンともいう。絶滅の危機にある野生動物の個体数を増加させるために,本来の生息地内で行なう保全活動を「域内保全」,生息地外で行なうものを「域外保全」というが,繁殖貸与は域外保全活動の一つ。動物園での繁殖は緊急避難的なもので,将来は本来の生息地に戻して自立繁殖ができることを目指す。国内外の動物園は希少種の繁殖計画を立て,国際種情報システム機構 International Species Information System; ISISにおける動物の飼育管理や血統のデータベースを活用して,動物を別の動物園に移動させ,ペアをつくり,繁殖をはかる。これまで日本では,シフゾウ,ニシローランドゴリラ,スマトラトラ,アムールヤマネコ,プルジェワリスキーウマ,コアラ,レッサーパンダ,ジャイアントパンダ,オカピ,コウノトリ,マサイキリン,イロワケイルカ,マレーグマ,アジアゾウ,タテガミオオカミ,インドライオンといった動物の繁殖貸与が行なわれた。巨大な動物を移動させるために労力と費用,動物の移動に伴う病気の感染といった課題もある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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