イロワケイルカ(読み)いろわけいるか(英語表記)Commerson's dolphin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イロワケイルカ」の意味・わかりやすい解説

イロワケイルカ
Cephalorhynchus commersonii; Commerson's dolphin

クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科イロワケイルカ属。体長約 1.5m,体重約 66kg。ケルゲレン諸島に生息するものは体長約 1.75m,体重約 86kgに達する。出生体長は 65~75cm。頭部ならびに胸鰭 (むなびれ) は黒色胸部から尾柄部にかけて白色部が広がり,尾柄部の中央より後方は黒色を呈する。背面は背鰭から尾鰭にかけて黒い。咽喉部に長卵形の白斑がある。腹部一面は白色であるが,肛門および生殖孔付近に黒色の模様がある。出生仔は全身灰色で,腹部にやや濃色の模様を呈する。体型はずんぐりとしている。噴気孔は1個で頭部正中線上にあり,嘴 (くちばし) は短く,前頭部の傾斜はなだらかである。背鰭は体のほぼ中央に位置し,前縁は後方に傾き,先端が丸く後方に垂れ,後縁は湾曲している。胸鰭は幅があり先端はとがらない。上下顎骨にとがった小さい円錐歯が左右 28~35対並ぶ。通常 10頭以下の小群をなすが,まれに 100頭をこえる群れをつくる。すばやく活発に泳ぎまわり,波に乗ったり,はねたりする。繁殖期は9月~2月。食性範囲は広く,魚類,スルメイカ類および甲殻類を海底近くで捕食する。南チリではカニ籠の餌として捕獲されている。飼育下での繁殖例は多い。南アメリカフォークランド諸島に分布するものとケルゲレン諸島に分布するものの2系群が存在する。沿岸の浅所を好むが,冬季に沖合いへ移動するものもいる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イロワケイルカ」の意味・わかりやすい解説

イロワケイルカ
いろわけいるか / 色分海豚
Commerson's dolphin
piebald dolphin
[学] Cephalorhynchus commersoni

哺乳(ほにゅう)綱クジラ目マイルカ科に属する海産動物。南アメリカ南部近海からインド洋ケルゲレン諸島まで分布する。体長1.4メートルぐらいの小形のハクジラで、体色ははっきり白と黒に分かれ、中国産のパンダを連想させるのでパンダイルカともよばれている。背びれの先端は丸い。現在イルカ類を食べる国は少ないが、本種は毎年数百頭が食用、釣りの餌(えさ)用として利用されている。

西脇昌治

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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「イロワケイルカ」の解説

イロワケイルカ
学名:Cephalorhynchus commersonii

種名 / イロワケイルカ
科名 / マイルカ科
解説 / 10頭以下で行動し、動きも活発で、船がつくる波によくのります。水族館で飼育され、繁殖もしています。
体長 / 1.3~1.5m、最大1.8m
体重 / 35~60kg、最大80kg
食物 / 魚、イカ、エビ
分布 / 南アメリカ南部、インド洋のケルゲレン島

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