レッサーパンダ(読み)れっさーぱんだ(英語表記)lesser panda

翻訳|lesser panda

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レッサーパンダ」の意味・わかりやすい解説

レッサーパンダ
れっさーぱんだ
lesser panda
[学] Ailurus fulgens

哺乳(ほにゅう)綱食肉目アライグマ科の動物。おもにネパールブータンなど比較的寒冷な竹林に生息するニシレッサーパンダA. f. fulgensと、中国四川(しせん)省、雲南(うんなん)省などの山岳地帯に分布する比較的大形のシセンレッサーパンダA. f. styaniに分けられる。別名をショウパンダともよび、中国では小熊猫(シャオシェンマオ)または小猫熊(シャオマオシェン)と称する。生息地は森林や竹林であるが、近似種のジャイアントパンダに比べ樹上生活が多い。頭胴長は50~60センチメートルであるが、尾は太くて長く40~50センチメートルに達する。体毛は光沢のある赤褐色であるが、腹面と四肢は黒色、毛質は絹毛状で長く密である。食性は雑食に近く、タケの葉、樹葉、果物など植物質のほか、卵、昆虫、小獣類、小鳥なども好食する。出産期は春で、90~130日の妊娠期間を経て、1~2子、まれに4子を出産する。日本で飼育している動物園は40施設を超え(2003年現在)、北海道から九州にまで及んでいるが、その多くはシセンレッサーパンダで、ニシレッサーパンダを飼育しているのは静岡熱川(あたがわ)バナナワニ園のみである。いずれもよく繁殖し、日本の動物園が生息地外保護における世界の中心的役割を担っている。

中川志郎


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レッサーパンダ」の意味・わかりやすい解説

レッサーパンダ
Ailurus fulgens; lesser panda; red panda

食肉目レッサーパンダ科。ふさふさした赤褐色の体毛と長い尾をもつ哺乳動物。ヒマラヤ山脈やその周辺の東アジアの山間,森林に生息し,おもにタケや果実,昆虫を食する。大きさは大型の飼い猫くらいで,体長 50~65cm,尾長 30~50cm,体重 3~6.2kg程度。腹側の毛は黒く,頭部の顔まわりや口もと,目の上部分,耳介には白い毛が生え,尾にはかすかな縞模様が見られる。足裏も毛で覆われている。かつてはジャイアントパンダ近縁とされていたが,レッサーパンダ科として独立に分類された。インド北部からチベット地方,ブータン,ネパールにかけて生息するネパールレッサーパンダ(ニシレッサーパンダ)Ailurus fulgens fulgensと,中国のスーチョワン(四川)省やユンナン(雲南)省に生息するシセンレッサーパンダ A. fulgens styaniの 2亜種が知られている。山中の高い岩や木の間にすみ,俊敏に上り下りする。夜行性で,おもに単独で暮らすが,繁殖期や子育て期にはペアあるいは家族で生活する。妊娠期間は約 130日で,春に 1~2頭の子を出産する。性質は温和で,飼いやすいが,触れられると嫌がる。愛らしい姿から動物園の人気者だが,違法な動物売買の対象になることもある。個体数が激減し,「絶滅のおそれのある種のレッドリスト」(→レッドデータブック)の絶滅危惧IB類に分類されている。

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