美しき魂(読み)うつくしきたましい(その他表記)schöne Seele

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「美しき魂」の意味・わかりやすい解説

美しき魂
うつくしきたましい
schöne Seele

シラーにおいて理論的に深められた概念カント厳粛主義に対して,シラーは理性感性との二元的対立の融和を考えたが,美しき魂とは理性と感性,義務と自然の傾向とが融和した人間性の理想的状態であり,美しき魂の表現が「優美」 Anmutであるとした。なおシラーの「美しき魂」に先行する概念としては,古代ギリシアのカロカガティアイギリスシャフツベリーの beauty of the heart,フランスの J.-J.ルソーの belle âmeをあげることができよう。

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世界大百科事典(旧版)内の美しき魂の言及

【優美】より

…もう一つは両極的原理たる自然と精神との調和という道徳的意義の発現にある。J.C.F.シラーは人間の身体運動も道徳性をはらむ精神の表現であることに着目し,感性と理性,性向と義務との全き調和を〈美しき魂schöne Seele〉と呼び,これの発現こそ優美にほかならぬとして以後の優美論の方向を定めた。だがさかのぼればギリシア語カリスcharisに発する概念ゆえ論者は他にも数多くあり,それら諸説の検討成果を大著《優美の美学》(1933)にまとめたのはバイエRaymond Bayerである。…

※「美しき魂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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