山川 日本史小辞典 改訂新版 「義務教育制度」の解説
義務教育制度
ぎむきょういくせいど
子供・青年の一定期間の学校への就学を保護者に義務づける制度。期間,学校の程度は各国の歴史的条件により異なる。万人に教育を施す理念は宗教改革において登場し,絶対主義国家の成立のなかで民衆教化政策として現実化する。日本では児童の就学について,1872年(明治5)の学制,79年の教育令で父母・後見人の責任とされ,86年の小学校令で「父母後見人等ハ其学齢児童ヲシテ普通教育ヲ得セシムルノ義務」とされたが,法体系として義務教育制度が成立したのは1900年の小学校令である。就学年限は07年の小学校令改正で4年から6年に,41年(昭和16)の国民学校令で初等科6年,高等科2年の8年に延長された。第2次大戦後は47年の教育基本法・学校教育法で,9カ年の義務教育制が確立した。戦前は,国家(天皇)とその富強化に寄与するという観念であったのに対し,日本国憲法第26条では国民の教育をうける権利(学習権)を実現するための義務教育であることが明示され,国家・地方公共団体がはたすべき義務が想定されている。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報