学齢に達した子どもが学校に入学して,所定の教育課程のもとで学習すること。日本の教育法制上では,戦前・戦後とも,義務教育に関してのみ使用される用語である。1879年の教育令で,学齢児童を就学させることは,父母・後見人の責任とされ,86年の小学校令で就学義務が規定された。しかし,国民学校制度発足前の1940年度までは,子どもを就学させなくとも,保護者が市町村長等の許可を得て,小学校の教育内容に相当する教育を行う道も法制上認められていた。現行法では,保護者は,学齢児童・生徒を小・中学校または盲・聾・養護学校の小・中学部に就学させる義務を負っており(学校教育法22条,39条),この義務の履行を怠っていると認められる保護者に対して,市町村教育委員会が子どもの出席を督促し,なお履行しない保護者には,罰金(1000円以下)が科せられる(同91条)。また学齢児童・生徒を使用する場合は,子どもが義務教育を受けることを妨げてはならないとも規定されている(同16条)。これらは,日本国憲法26条に規定する〈教育を受ける権利〉を子どもに保障するための法的・社会的措置である。しかし,学齢児童・生徒が,病弱,発育不完全その他やむを得ない事由のため就学困難と認められる場合,市町村教育委員会は,就学義務を猶予または免除することができる(同23条,39条)。この〈やむを得ない事由〉のなかに,経済的事由が含まれないことは,憲法26条の精神に照らして明らかである。就学の猶予・免除の制度は,戦前において障害児を公教育の場からしめ出す役割を果たしたが,憲法,教育基本法制下では,それは許されぬだけでなく,障害児の〈教育を受ける権利〉,すなわち発達の必要に応じた教育を保障する積極的な措置がとられなければならない。96年度の不就学学齢児童生徒数は,1589(男923,女666,前年度比+78)で,うち就学免除者数は470,就学猶予者数は1119となっている(文部省調)。
なお,小学校就学の年齢は日本をはじめアメリカ,フランス,ドイツなど多くの国で6歳だが,イギリスは5歳,ロシアは6歳または7歳である。
執筆者:浪本 勝年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…保護者が,その保護する子どもを就学させる義務を負っている期間の子どもの年齢(6歳から15歳まで)をいう。学校教育法では,保護者に対し,子どもが〈満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初め〉から,〈満15歳に達した日の属する学年の終り〉まで,義務教育諸学校に就学させる義務を負わせている。…
…国民がその保護する子どもに一定の教育を受けさせることを法的に義務づけている教育制度とそこでの教育をいう。一般に各国とも,法令によって子どもの年齢ないしは習得すべき教育課程を基準に義務教育の年限(期間)を定め,保護者(父母または後見人)にはその期間子どもを就学させるか,その課程を修了させるかの義務を課し(就学義務),国や地方自治体には必要な学校を設置し(学校設置義務),無償制をはじめ教育の諸条件を整備することを義務づけている。就学開始年齢(学齢)はイギリス,イスラエルなどの5歳を除けば6歳ないしは7歳がほとんどだが,義務教育年限にはかなりの差がみられる。…
※「就学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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