義民物(読み)ぎみんもの

改訂新版 世界大百科事典 「義民物」の意味・わかりやすい解説

義民物 (ぎみんもの)

農民のために一命をなげうって,その困窮を救う義民を主人公とする歌舞伎狂言の一系統。延宝・天和期(1673-84)以来幕末にいたるまで,将軍家や大名諸侯に関して,出版物や演劇を通じて言及することは,法令によって厳禁されていた。義民物の劇化上演が,嘉永年間(1848-54)にいたって可能となったのは,幕府統制がゆるみ権威が失墜した一つのあらわれであった。1851年(嘉永4)8月江戸中村座初演の《東山桜荘子(ひがしやまさくらそうし)》(3世瀬川如皐作)は,それまでに流布されていた実録本《地蔵堂通夜物語》や一立斎文車,石川一夢らの講釈で演じられていた正保年中(1644-48)に起きた佐倉領の強訴事件に取材し,大当りをとった作。65年(慶応1)8月中村座の《上総棉小紋単地(かずさもめんこもんのひとえじ)》(市兵衛記)や85年(明治18)12月大阪中座《実事譚佐倉聞書(じつせつさくらのききがき)》,86年12月東京新富座の《文珠智恵義民功(もんじゆのちえぎみんのいさおし)》など一連の義民物の上演の背景には幕末・明治期に起きた百姓一揆や自由民権運動が反映している。
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