朝日日本歴史人物事典 「羽紅」の解説
羽紅
江戸前・中期の俳人。野沢凡兆の妻で,名はとめ。元禄4(1691)年春に剃髪して,羽紅と号す。元禄2年,夫と共に『曠野』に初登場,同3,4年ごろは在京中の松尾芭蕉と親しく接する。蕉風俳書の亀鑑と目される『猿蓑』に13句を入集し,第7位の厚遇を得た。元禄3年9月の芭蕉書簡は,羽紅が芭蕉の衣料について心を配っていたことを伝える。同4年の芭蕉の『嵯峨日記』には,「今宵は羽紅夫婦をとゞめ」とあり,親炙の様子がわかる。凡兆が密貿易のため罪を得て以降,大坂に住す。少なくとも享保7(1722)年までは生存していた。<参考文献>川島つゆ『女流俳人』
(楠元六男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報