老子化胡経(読み)ろうしけこきょう(英語表記)Lao-zi hua-hu-jing

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「老子化胡経」の意味・わかりやすい解説

老子化胡経
ろうしけこきょう
Lao-zi hua-hu-jing

中国で偽作された仏教経典,いわゆる「偽経」の代表的作品。4世紀初め頃の成立で,晋の道士王浮の作と伝えられる。後漢以来,道教と仏教の争いが盛んであったが,老子が西のインドに入り,生れ変って仏陀となって,もしくは仏陀を弟子にして,仏教を広めたと説き,道教の優位を主張している。初めは1巻であったが,のち2,10,11巻に増成されて記述も詳細となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の老子化胡経の言及

【禁書】より

…後漢の末から三国時代にかけ民間に仏教が流通する一方,道教もしだいに組織され,仏道2教の衝突が絶えず起こるようになった。南北朝から隋・唐の間にあってその争論の中心となったのは《老子化胡経(かこきよう)》という偽経である。老子が釈迦を教えたと説くこの道教の偽経に対抗して,仏教側も老子を仏弟子とする《老子大権菩薩経》等を偽作した。…

【老子化胡説】より

…すなわち,西方の関所をこえて姿をかくしたと伝えられる老子は,実は胡地におもむいて性質のひねくれた胡人を教化するために仏教をはじめたのだといい,したがって仏陀は老子の変化身にほかならないと説かれる。166年の後漢の襄楷(じようかい)の上奏の一節に,〈老子は夷狄(いてき)に入りて浮屠(ふと)(仏陀)となる〉とあって,その萌芽がうかがわれるが,六朝時代以後,仏教にたいする道教の優位を主張するこの説は,排仏論の有力な武器となり,老子化胡を主題とする説話がさまざまに語られ,また《老子化胡経》とよばれる書物が制作された。西晋の道士の王浮が道仏二教の邪正をめぐる僧侶との論争に敗れた腹いせに制作したのが最初の《化胡経》であるといわれ,以後,増広を加えつつ何種類かのものがあらわれた。…

※「老子化胡経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android