国指定史跡ガイド 「老洞-朝倉須恵器窯跡」の解説
おいぼらあさくらすえきかまあと【老洞-朝倉須恵器窯跡】
岐阜県岐阜市芥見(あくたみ)にある窯跡。各務原(かかみがはら)山地の南麓には130基を超える奈良・平安時代の須恵器(すえき)窯跡が分布し、美濃須恵古窯跡と称されるが、老洞須恵器窯跡と朝倉須恵器窯跡は、その古窯跡群の西端、長良川に面して延びる諏訪(すわ)山の南北斜面に位置する奈良時代の窯跡群である。1967年(昭和42)に南麓の朝倉古窯跡から「美濃国」と刻印された須恵器が発掘され、現在4基以上の窯跡が発見されている。また、北麓にある老洞古窯跡からも1977年(昭和52)に「美濃国」印のある須恵器が発見され、調査の結果、3基の窯跡が確認されて、奈良時代初頭の1号窯で「美濃国」の刻印・ヘラ書きのある須恵器を生産していたことがわかった。1号窯は全長9.3m、焼成室の最大幅1.3mで、半地下式の登り窯であり、この窯から出土した刻印須恵器は約1300点を数え、押印に用いた陶製の印も出土した。美濃国印のある日常用の須恵器は、奈良平城宮跡、伊勢斎宮跡、美濃国分寺跡などから出土しており、これらの須恵器が美濃国衙(こくが)と密接な関係のある工房で生産された可能性はきわめて高い。老洞須恵器窯跡へは、名鉄名古屋本線ほか名鉄岐阜駅から岐阜バス「東芥見」下車、徒歩約10分。朝倉須恵器窯跡へは、名鉄岐阜駅から岐阜バス「諏訪山団地」下車、徒歩約10分。