耐風構造(読み)たいふうこうぞう(英語表記)wind resistant structure

日本大百科全書(ニッポニカ) 「耐風構造」の意味・わかりやすい解説

耐風構造
たいふうこうぞう
wind resistant structure

屏風(びょうぶ)状超高層ビルや、軽量でたわみやすい吊(つ)り構造、空気膜構造、大スパン鉄骨構造などの構造設計では、地震外乱よりも風圧力のほうが設計を支配する外力となる。予測風圧力に対して安全で、かつ風による振動が居住環境として支障ないレベルにとどまるように設計された構造物を耐風構造という。一様風速vの空気(密度ρ)中に置かれた物体の表面のよどみ点に作用する風圧力は、十分遠い点における圧力を基準として測ると1/2ρv2で表され、速度圧とよばれる。建物に作用する風力の大きさは、速度圧に建物見付面積と風力係数を乗じて求められる。風力係数は建物形状に依存し、風洞実験に基づいて求められる。建築基準法施行令では、建物の高さh(m)の点の設計用速度圧は、
  60(kg/m2)(h≦16m)、
  1204(kg/m2)(h>16m)
で計算することとされている。

 建物の隅角部には平均風圧力に比べて著しく大きな局部風圧力、とくに負圧が作用するので、その局部の窓ガラスや支持材はそれに耐えられるように設計される。建物前面の正圧の変動成分は風向方向の振動を、側面の負圧の変動成分は風向と直角方向の振動を引き起こすので、振動不快感、材料の疲労破損、仕上材の破損が生じないように設計されねばならない。

[中村恒善]

『石崎溌雄著『耐風工学』(1977・朝倉書店)』

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