肺囊胞症(読み)はいのうほうしょう(その他表記)cystic lung disease

改訂新版 世界大百科事典 「肺囊胞症」の意味・わかりやすい解説

肺囊胞症 (はいのうほうしょう)
cystic lung disease

囊胞性肺疾患ともいい,単一の疾患ではなく,炎症や腫瘍などによる直接的な肺組織の破壊によらずに,肺内に異常空間の生じる一連の疾患群をいう。この点で肺内に生じた病変壊死に陥り,それが排出されて生じる空洞cavityとは異なる。囊胞の壁が何によっているかで肺胞性と気管支性に分けられる。肺胞性囊胞は,肺胞壁の破壊によって隣接する肺胞が癒合し囊胞を形成し,内壁は肺胞上皮細胞で囲まれている。これには肺の内部にできるブラbulla,胸膜直下にできるブレブblleb,進行性巨大気胞性囊胞progressive giant bullaおよび巨大空胞pneumatoceleがある。ブラは,気腫性囊胞emphysematous bullaともいわれ,肺気腫の一部分として現れることが多い。ブレブは,しばしば若年者の自然気胸の原因となる。これは合併症を起こさないかぎり放置してよい。合併症としては,気胸感染,出血があげられる。進行性巨大気腫性囊胞はvanising lungとも呼ばれ,しだいに容積を増し,健常な肺を圧迫し,呼吸不全に陥ることがある。巨大囊胞を除去する手術が行われることもある。巨大空胞は,乳幼児のブドウ球菌肺炎の治癒過程で生じ,自然に大きさが変わり,消失することが多い。気管支性囊胞は,しばしば感染を合併するため,手術によって除去する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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