肺囊胞症(読み)はいのうほうしょう(その他表記)cystic lung disease

改訂新版 世界大百科事典 「肺囊胞症」の意味・わかりやすい解説

肺囊胞症 (はいのうほうしょう)
cystic lung disease

囊胞性肺疾患ともいい,単一の疾患ではなく,炎症や腫瘍などによる直接的な肺組織の破壊によらずに,肺内に異常空間の生じる一連の疾患群をいう。この点で肺内に生じた病変壊死に陥り,それが排出されて生じる空洞cavityとは異なる。囊胞の壁が何によっているかで肺胞性と気管支性に分けられる。肺胞性囊胞は,肺胞壁の破壊によって隣接する肺胞が癒合し囊胞を形成し,内壁は肺胞上皮細胞で囲まれている。これには肺の内部にできるブラbulla,胸膜直下にできるブレブblleb,進行性巨大気胞性囊胞progressive giant bullaおよび巨大空胞pneumatoceleがある。ブラは,気腫性囊胞emphysematous bullaともいわれ,肺気腫の一部分として現れることが多い。ブレブは,しばしば若年者の自然気胸の原因となる。これは合併症を起こさないかぎり放置してよい。合併症としては,気胸感染,出血があげられる。進行性巨大気腫性囊胞はvanising lungとも呼ばれ,しだいに容積を増し,健常な肺を圧迫し,呼吸不全に陥ることがある。巨大囊胞を除去する手術が行われることもある。巨大空胞は,乳幼児のブドウ球菌肺炎の治癒過程で生じ,自然に大きさが変わり,消失することが多い。気管支性囊胞は,しばしば感染を合併するため,手術によって除去する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 工藤

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む