六訂版 家庭医学大全科 「脊椎骨折」の解説
脊椎骨折
せきついこっせつ
Vertebral fracture
(運動器系の病気(外傷を含む))
どんな外傷か
背椎は上半身を支える柱となる部分で、
転落事故や交通事故などの大きな外力で起きた場合は、骨折に加え脊椎の
一方、高齢の女性に起こりやすいのが脊椎圧迫骨折で、これは椎体がつぶれたようになる骨折です(図16)。発生する部位は、背中の中央部にあたる下位胸椎と上位腰椎がほとんどです。高齢の女性は
症状の現れ方
強い外力で起きる脊椎(脱臼)骨折の場合には、骨折部の痛みや不安定感のため動くことができません。また、骨折や脱臼により脊髄や足に行く神経が圧迫されると、頸椎なら四肢や体全体、胸椎なら下半身、腰椎なら下肢の感覚や筋力が低下します。
高齢者の圧迫骨折の症状は、骨折部である背中の痛みで体動時、とくに起きあがる時に強くなります。背中の痛みは両脇に放散することもあります。骨折により脊髄や足に行く神経が圧迫されることは比較的まれです。
検査と診断
X線写真をとります。このほかCTやMRIで、より詳細に骨折部や神経、脊髄を観察します。X線写真は治療中も定期的に撮影して、骨折部の変化を調べます。
治療の方法
大きな外力による脊椎(脱臼)骨折の場合は、骨折部が安定していればギプスやコルセットで治療します。骨折部位が不安定な場合には手術を行い、金属で固定して早期から動けるようにします。上肢や下肢に麻痺が残った場合には、装具やリハビリテーションが必要となります。
高齢者に起こる圧迫骨折の場合、治療は短期間のベッド上の安静で骨
椎体の骨折の程度が強く、骨片が椎体の後方に存在する脊髄や神経を圧迫して下肢の感覚がなくなったり、力が入らない場合には、手術で圧迫された神経を緩める操作が必要となります。骨粗鬆症の程度が強く、数カ月たっても骨癒合が起こらず痛みが改善しない場合には、人工骨や骨セメントを骨折部へ注入する治療が行われます。
応急処置はどうするか
大きな外力で起きた脊椎骨折の場合は、傷ついた脊髄や神経をさらに傷める可能性があるので、不用意に体を動かさないことが大切です。救急車を待つか、何人かで体をねじらないように頭、体、両足を一体として、戸板に乗せて運んでください。
高齢者の圧迫骨折の場合は、足の麻痺がなければあわてる必要はありませんが、整形外科を受診してください。
注意点
脊椎圧迫骨折は比較的治りやすい骨折ですが、骨折部位が数カ所あると背中が丸くなり、身長も低くなります。この骨折の基盤には骨粗鬆症があり、骨折を繰り返さないためにも、普段からその予防と必要な場合には治療を行うことが大切です。
後藤 英司
脊椎骨折
せきついこっせつ
Spinal fracture
(子どもの病気)
脊椎はいわゆる「背骨」であり、そのなかに神経の束である
症状はどの場所の脊髄が損傷を受けたかで異なりますが、多くは出生直後から呼吸障害を伴います。損傷した場所が胸髄の上部で、しかも障害の程度が強ければ死産となるかあるいは出生直後に死亡します。障害を受けた場所が低いか、あるいは程度が軽ければ生命の危険は少ないのですが、足の
治療は、脊椎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報