肩の挙上や回旋を担う回旋筋の遠位にある腱板部の断裂。肩の回旋筋を構成する四つの筋肉の腱(肩甲下筋腱、棘上(きょくじょう)筋腱、棘下筋腱、小円筋腱)は一つの腱にまとまって腱板となる。腱板はローテーターカフrotator cuffともいい、古くは肩回旋筋腱板ともよばれていた。この腱板は40歳以降に加齢に伴って始まる変性などによって磨耗や損傷を受けやすくなり、肩の外傷などによって断裂を生じやすくなる。四つの筋腱のなかでは棘上筋腱の断裂がもっとも多い。断裂を起こすと肩関節に疼痛(とうつう)を伴い肩が上がらなくなる。診断に利用する腕落下試験(上肢を水平に持ち上げて離す)では、完全断裂の場合は支えられずに落下する腕落下徴候drop arm signがみられることが多いが、不全断裂では落下せずに保持できる。ほかに診断のために造影剤を用いる肩関節造影やMRI検査なども行う。治療はまず消炎鎮痛剤や理学療法などによる保存的治療を施し、症状が軽快しない場合や完全断裂などで一般に60歳以下の比較的活動性の高い患者には、腱板縫合術などの手術療法を行う。
[編集部]
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