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骨格筋を骨に固着させる白い光沢のある強靭(きょうじん)な結合組織性線維束をいい、骨格筋の補助装置の一つといえる。骨格筋の停止部、起始部につき、それぞれ停止腱、起始腱となる。なお、停止部とは、筋の収縮の際に動きの大きい骨に付着する腱側であり、起始部とは、動きの少ない骨に付着する腱側をいう。腱の長さや形は一定せず、紡錘(ぼうすい)状筋では円筒状であり、扁平(へんぺい)な羽状筋では扁平状となる。腱が非常に薄くなったものを腱膜という。腱の外周は緻密(ちみつ)な結合組織性被膜で包まれ(外腱周膜とよぶ)、この膜は腱内部に入って小腱束を分けている。小腱束の周囲のこの膜を内腱周膜とよび、腱内部の中隔の役割をしている。腱は強い張力に対して非常な耐久性をもち、1平方センチメートルの断面当り約0.5トンの力に耐えうるが、弾力性はない。腱の組織は主体が膠原(こうげん)線維(腱線維ともいう)で、互いに強固に結合しあい、線維間には腱細胞が存在している。腱組織には血管やリンパ管が少なく、小さな腱ではその内部に血管がみられない。しかし、神経分布は多く、とくに知覚神経の分布は発達している。この腱組織の神経終末は腱紡錘(ゴルジ腱器)とよぶ受容器に終わっており、伸展感覚を伝える。腱と筋が結合する部分では、腱を構成する膠原原線維が筋線維間に入り、筋細胞とつながっている。この結合はきわめて強固で、機械的には分離できない。腱膜の場合は、しばしば広い筋表面を覆いながら広がり、その内面に筋線維束がつく。
[嶋井和世]
筋肉が骨につく部分をかたちづくる丈夫な組織で,緻密繊維性結合組織に属する。アキレス腱は最もよい例。腱は一端が筋肉に移行し,他端は骨膜を通して骨実質内に侵入している。平行に走る密な膠原(こうげん)繊維の束とその間に存する腱細胞tendon cellからなり,断面積1cm2について500kgの引張りに耐えることができる。腱細胞は繊維芽細胞の一種で膠原繊維の間を縦にならんで,コウモリの翼のような形をなし,翼細胞とも呼ばれる。豊富な膠原繊維はこの腱細胞から生産されたものである。1本の腱は,その周囲を筋膜のつづきで,腱膜aponeurosisと呼ばれる疎性結合組織の膜につつまれる。この疎性結合組織は腱の中に入りこみ,腱をいくつかの大まかな束にわけている。腱に出入りする血管や神経は,この疎性結合組織によって導かれるのである。
→筋肉
執筆者:藤田 尚男
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…したがって体のなかで長さの最も長い縫工筋の場合,それを構成する筋繊維は長さが30cmもある。筋肉が骨に付着するところをみると,筋繊維が直接に骨に付着するのではなく,必ず腱(けん)tendonを介して連結している。腱というのは結合組織の繊維(膠原(こうげん)繊維)の束で,筋肉とは対照的に収縮性も伸展性もない。…
…一つの関節には通常,いくつもの靱帯が付属している。そのほか,関節包の外側にある筋肉やその腱も,靱帯と同じように関節の補強装置として役だっている。腱と靱帯とは本体はともに膠原繊維の束であるが,靱帯は関節に付属しているもので,とくに筋肉とは関係はない。…
…したがって体のなかで長さの最も長い縫工筋の場合,それを構成する筋繊維は長さが30cmもある。筋肉が骨に付着するところをみると,筋繊維が直接に骨に付着するのではなく,必ず腱(けん)tendonを介して連結している。腱というのは結合組織の繊維(膠原(こうげん)繊維)の束で,筋肉とは対照的に収縮性も伸展性もない。…
※「腱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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