(読み)ケン

デジタル大辞泉 「腱」の意味・読み・例文・類語

けん【×腱】

筋肉両端にあって、骨に筋肉を付着させる線維性のひも状の組織アキレス腱など。→筋腹

けん【腱】[漢字項目]

[音]ケン(漢)
筋肉を骨に結びつけている組織。すじ。「腱鞘炎けんしょうえん

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精選版 日本国語大辞典 「腱」の意味・読み・例文・類語

けん【腱】

  1. 〘 名詞 〙 骨格筋の両端にあって、筋肉を骨格その他に結びつけている結合組織。白色のひも状で、きわめて強じんな繊維束からなる。人体ではアキレス腱など。〔医語類聚(1872)〕

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普及版 字通 「腱」の読み・字形・画数・意味


13画

[字音] ケン

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(建)(けん)。〔説文〕に字を筋部四下に属してに作り、「筋の本(もと)なり。筋の省に從ひ、(ゑん)の省聲」(段注本)とするが、声に従う字ではない。はおそらく筋頭の意、腱はその形声の字であろう。筋肉が骨に連なる最も強健な部分をいう。筋の竹の部分が、腱の部分の象形である。

[訓義]
1. すじのつけね、すじのもと、筋肉が骨に連なるところ。
2. すじのつけねの肉。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕腱 スヂノハギ・スヂノモト

[語系]
腱kian、筋kinは声義近く、腱は筋の一部で、その筋頭の部分。同系の語である。

[下接語]
肌腱

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「腱」の意味・わかりやすい解説


けん

骨格筋を骨に固着させる白い光沢のある強靭(きょうじん)な結合組織性線維束をいい、骨格筋の補助装置の一つといえる。骨格筋の停止部、起始部につき、それぞれ停止腱、起始腱となる。なお、停止部とは、筋の収縮の際に動きの大きい骨に付着する腱側であり、起始部とは、動きの少ない骨に付着する腱側をいう。腱の長さや形は一定せず、紡錘(ぼうすい)状筋では円筒状であり、扁平(へんぺい)な羽状筋では扁平状となる。腱が非常に薄くなったものを腱膜という。腱の外周は緻密(ちみつ)な結合組織性被膜で包まれ(外腱周膜とよぶ)、この膜は腱内部に入って小腱束を分けている。小腱束の周囲のこの膜を内腱周膜とよび、腱内部の中隔の役割をしている。腱は強い張力に対して非常な耐久性をもち、1平方センチメートルの断面当り約0.5トンの力に耐えうるが、弾力性はない。腱の組織は主体が膠原(こうげん)線維(腱線維ともいう)で、互いに強固に結合しあい、線維間には腱細胞が存在している。腱組織には血管やリンパ管が少なく、小さな腱ではその内部に血管がみられない。しかし、神経分布は多く、とくに知覚神経の分布は発達している。この腱組織の神経終末腱紡錘(ゴルジ腱器)とよぶ受容器に終わっており、伸展感覚を伝える。腱と筋が結合する部分では、腱を構成する膠原原線維が筋線維間に入り、筋細胞とつながっている。この結合はきわめて強固で、機械的には分離できない。腱膜の場合は、しばしば広い筋表面を覆いながら広がり、その内面筋線維束がつく。

[嶋井和世]

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改訂新版 世界大百科事典 「腱」の意味・わかりやすい解説

腱 (けん)
tendon

筋肉が骨につく部分をかたちづくる丈夫な組織で,緻密繊維性結合組織に属する。アキレス腱は最もよい例。腱は一端が筋肉に移行し,他端は骨膜を通して骨実質内に侵入している。平行に走る密な膠原(こうげん)繊維の束とその間に存する腱細胞tendon cellからなり,断面積1cm2について500kgの引張りに耐えることができる。腱細胞は繊維芽細胞の一種で膠原繊維の間を縦にならんで,コウモリの翼のような形をなし,翼細胞とも呼ばれる。豊富な膠原繊維はこの腱細胞から生産されたものである。1本の腱は,その周囲を筋膜のつづきで,腱膜aponeurosisと呼ばれる疎性結合組織の膜につつまれる。この疎性結合組織は腱の中に入りこみ,腱をいくつかの大まかな束にわけている。腱に出入りする血管や神経は,この疎性結合組織によって導かれるのである。
筋肉
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「腱」の意味・わかりやすい解説


けん
tendon

骨格筋の両端にあって,筋肉を骨に付着させる仲介をしている強力な結合組織線維束。その形状は筋肉の種類により異なるが,紡錘状筋はほぼ円筒状の,扁平筋は薄く広い扁平状の腱をもっている。膜状の腱を特に腱膜という。筋線維と腱線維の間は直接に結合しておらず,筋線維末端で筋内膜が膠原線維に移行している。また腱と骨の付着部分では,腱線維は一部骨膜に付着し,一部は骨質内に入り込んでいる。腱は非常にじょうぶで切れることは少いが,骨との付着部分がはがれることがあり,アキレス腱で最もよく起る。腱には神経が多く分布している。小型のハンマーで膝頭の下を軽くたたくと膝蓋腱反射がみられる。

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百科事典マイペディア 「腱」の意味・わかりやすい解説

腱【けん】

筋肉が骨につく際にその仲介をする強い結合組織の部分。腱の長さ,太さ,形などは筋肉によって異なるが,一般に細長い筋肉では紐(ひも)のように長く,板状の筋肉では薄くて広い。膜様に広い腱は腱膜と呼ばれる。腱自身はきわめて強く,また筋肉と腱とのつながりも強固なので,急に強く引っ張られると,腱と骨との間が切れることが多い(アキレス腱断裂)。
→関連項目突き指

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【筋肉】より

…したがって体のなかで長さの最も長い縫工筋の場合,それを構成する筋繊維は長さが30cmもある。筋肉が骨に付着するところをみると,筋繊維が直接に骨に付着するのではなく,必ず(けん)tendonを介して連結している。腱というのは結合組織の繊維(膠原(こうげん)繊維)の束で,筋肉とは対照的に収縮性も伸展性もない。…

【関節】より

…一つの関節には通常,いくつもの靱帯が付属している。そのほか,関節包の外側にある筋肉やその腱も,靱帯と同じように関節の補強装置として役だっている。腱と靱帯とは本体はともに膠原繊維の束であるが,靱帯は関節に付属しているもので,とくに筋肉とは関係はない。…

【筋肉】より

…したがって体のなかで長さの最も長い縫工筋の場合,それを構成する筋繊維は長さが30cmもある。筋肉が骨に付着するところをみると,筋繊維が直接に骨に付着するのではなく,必ず(けん)tendonを介して連結している。腱というのは結合組織の繊維(膠原(こうげん)繊維)の束で,筋肉とは対照的に収縮性も伸展性もない。…

※「腱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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