艘別銭(読み)そうべつせん

改訂新版 世界大百科事典 「艘別銭」の意味・わかりやすい解説

艘別銭 (そうべつせん)

鎌倉時代中ごろより,船着場である津や港湾に入ってくる船舶に対して課せられた関税一種。1261年(弘長1)金剛山内外院修理料として淀津において,上洛船1艘につき10文を徴収したのが,その早い例である。淀津以外には摂津兵庫島,河内禁野内渚院などでも徴収された。いずれも1艘別に銭貨を徴収している。これと類似したものに帆別銭がある。帆別銭は南北朝末期に神奈川,品河などの関東の浦々で,出入りの船舶の帆1段につき300文を徴収した例がある。なお,艘別銭は鎌倉末から南北朝にかけて,兵庫などでは,商船目銭という名称にかわって徴収されている。また,年貢運送船からは升米を,雑物等の運送船からは艘別銭を徴収したとする説もあるが,今のところそう明確に断定しうる史料はない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android