芋羊かん(読み)いもようかん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「芋羊かん」の意味・わかりやすい解説

芋羊かん
いもようかん

サツマイモでつくった蒸し羊かん。サツマイモをあく抜きし、砂糖と水飴(みずあめ)を加えて練り、蒸し上げる。第二次世界大戦前は東京の駄菓子屋には三角形に切った芋羊かんがあった。芋の香りと淡泊な味わいが庶民的である。1816年(文化13)刊の『甘藷百珍(いもひゃくちん)』には「羊羹(ようかん)いも」の製法について「藷精(いものじん)一合、アズキ烹粉(しぼりこ)一合半、砂糖蜜(みつ)三合混ぜ合わせ、馬尾篩(ふるい)にてこし、銅鍋(なべ)にて練り、固まりたるとき重箱に入れ、冷して切る」とある。本来は口取りに用いられた上菓子が、庶民向きに変化していったものであろう。東京・浅草の舟和(ふなわ)の「芋ようかん」は有名。

[沢 史生

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