芸術大衆化論(読み)げいじゅつたいしゅうかろん

改訂新版 世界大百科事典 「芸術大衆化論」の意味・わかりやすい解説

芸術大衆化論 (げいじゅつたいしゅうかろん)

一般的には,芸術の社会的孤立または孤高に対して,芸術と大衆との積極的な関係をつくりだそうと主張する論をいう。特に,1920-35年の日本のプロレタリア芸術運動においては基本の目的の一つとされた。28年にはこれをめぐって〈芸術大衆化論争〉が,その運動の主要な雑誌の一つたる《戦旗誌上で,約半年にわたって行われた。中野重治はその6月号に〈いはゆる芸術の大衆化論の誤りについて〉を書き,通俗化・迎合・水うめ等によってプロレタリア芸術の大衆化をはかる傾向をはげしく論難し,芸術家としての頑固な進み方で大衆の真実に迫ることを要求した。これに対して,蔵原惟人がただちに批判して〈大衆の直接的アジ・プロの為の芸術運動〉も必要だとした。中野が芸術運動を,プロレタリア芸術確立を目ざすものとアジ・プロのためとの二つに分ける考え方に反論すると,蔵原が再論した。ほかに鹿地亘,林房雄らがからみ,やや唐突に中野が妥協して論争としては一応終わった。論争を通じて政治の影が濃くなったが,問題そのものはあとに残された。
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