ぼう‐ぼうバウバウ【茫茫・芒芒】
- 〘 形容動詞ナリ活用タリ 〙
- ① 広々としてはるかなるさま。特に、水面が遠く広がる湖や海のさまについていう。
- [初出の実例]「懐来惣作二懐中物一、四海茫茫尚一家」(出典:菅家文草(900頃)二・仲春釈奠、聴講左伝、賦懐遠以徳)
- 「鴨河の水漲出逆浪岸を浸し茫々(バウバウ)たり」(出典:太平記(14C後)二四)
- [その他の文献]〔春秋左伝‐襄公四年〕
- ② 見たようすがぼんやりとしていてはっきりとしないさま。かすかなさま。
- [初出の実例]「今来古往事茫茫、石馬無レ声抔土荒」(出典:星巖先生遺稿‐前編(1863‐65)鴨沂小隠集・吉野懐古)
- 「茫々たる色は即ち蘆花の雪なり」(出典:自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉自然に対する五分時)
- [その他の文献]〔司馬相如‐上林賦〕
- ③ 風や波の音などの激しいさま。
- [初出の実例]「岸うつ浪も茫々(バウバウ)たり」(出典:高野本平家(13C前)一〇)
- ④ 草や髪などが多く乱雑に生えているさま。苞苞。
- [初出の実例]「草茫々として、露深々と古塚の」(出典:謡曲・井筒(1435頃))
- 「此ぼうぼうとしたる髭にては、あまりけうがるべき」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一一)
- [その他の文献]〔陸機‐門有車馬客行〕
- ⑤ 物事に対する気構えや考え方がはっきりせず、ぼんやりしているさま。茫然。
- [初出の実例]「そのよしみほねにいり、そのたわぶれ肝にめいじて心ばうばうたり」(出典:文机談(1283頃)二)
- 「是非をも弁へず、ただばうばうとして、年月を送り給ひける」(出典:御伽草子・あきみち(室町末))
- [その他の文献]〔漢武帝‐李夫人賦〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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