朝日日本歴史人物事典 「荒木田盛員」の解説
荒木田盛員
生年:寛永9.9.9(1632.10.22)
江戸前期の国学者。伊勢内宮権禰宜。荒木田盛徴の子。堤氏,通称は猪之助,のちに源助,刑部,杢之助などという。13年を要した主著『鸚鵡抄』100巻(1685完成)は,江戸初期における最も網羅的で体裁の整ったいろは引辞書である。二万数千の雅言を収載,霊元天皇の褒賞にあずかるほど当時から重宝された(『宮川夜話草』)が,未刊。自序は一篇の命名を「鸚鵡抄といへるも,たゝ人の口につきたるいはれなれは,わたくしのことの葉をましへす」と説き,父の遺業を大成させるために企てられたものである旨を述べる。自筆草稿42冊の残欠本(静嘉堂文庫蔵)のほかに,完全な姿は国立国会図書館蔵72冊精写本にみられる。<参考文献>丸山季夫「鸚鵡抄の草稿本と写本」(山田忠雄編『本邦辞書史論叢』)
(ロバート・キャンベル)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報