朝日日本歴史人物事典 「荻野安重」の解説
荻野安重
生年:慶長18(1613)
江戸前期の砲術家。荻野流砲術の流祖。初め種子島流砲術をもって浜松本多家に仕えたが,正保1(1644)年に暇を願い,弟小左衛門と諸国を巡って正木流など12流の砲術を極め,一流を立てて荻野流と称した。他流の長所を積極的に採り入れ,絶えず工夫を重ねるといった柔軟な姿勢が反映してか『荻野流秘書』(全3巻)など伝書の種類が豊富で,他流からの引用,比較が随所にみられるように,和流砲術のなかでも最も進歩的な思想をもつ流派として盛行した。坂本天山,高島秋帆 や大隈重信なども荻野流砲術を学んだ。
(所荘吉)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報