デジタル大辞泉 「萎す」の意味・読み・例文・類語 なや・す【▽萎す】 [動サ五(四)]1 衣服などをしなやかにする。また、物を柔らかくする。「痛い頭を―・そうとして」〈秋声・黴〉「着―・したる、ものの色もあらぬやうに見ゆ」〈かげろふ・上〉2 気力をなくさせる。力を失わせる。「その道理に服するのではなくて、只何がなしに―・されてしまうのである」〈鴎外・雁〉3 鉄などを打ち鍛える。ねやす。「クロガネヲ―・シテ刀ヲツクル」〈和英語林集成〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「萎す」の意味・読み・例文・類語 なや・す【萎】 〘 他動詞 サ行四段活用 〙① なよなよとさせる。衣服などをよれよれにする。また、物をやわらかくする。しなやかにする。[初出の実例]「ひぢながら下す様にひくがよき也。てくびをなやしてひくはれつなり」(出典:胡琴教録(13C初)上)「痛い頭を萎(ナヤ)さうとして、笹村は机を離れてふと外へ出て見た」(出典:黴(1911)〈徳田秋声〉一二)② 鉄などを打ちきたえる。ねやす。ねる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕③ 体から力を抜きとる。気力をなくさせ、くたくたにする。また、なだめて気をそぐ。[初出の実例]「此佳人が一とふし歌たれば、聴者が腰をなやすぞ」(出典:両足院本山谷抄(1500頃)二)④ 尺八で、音高をなめらかに少し上げ下げする。[初出の実例]「しらべ妙なる管の名も、思按も今宵一夜きり、翌はわがうへ友のうへに、心はめる手、人の智を、かる手乏しくうちふさぐ、紊れを何日かなやすべき」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)九)⑤ 寄席芸人仲間で、芸に力を入れないでなまける、力を抜くの意にいう。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例