日本大百科全書(ニッポニカ) 「蓄電池機関車」の意味・わかりやすい解説
蓄電池機関車
ちくでんちきかんしゃ
搭載した蓄電池を電源として電動機を駆動し走行する機関車。バッテリー・ロコともいう。日本の国鉄(現JR)では1927年(昭和2)ごろ東京都荒川区の火薬工場への貨物支線に防爆用としてAB10形蓄電池機関車が2両存在した。しかし、のちにこの機関車が直流電気機関車に改造されてからは一般営業用鉄道には使用されていない。むしろ炭坑や化学工場などの構内輸送作業に防災の見地から使用される。蓄電池機関車は架線集電を必要としないが、充電を頻繁に行わなければならないので行動半径、時間に制約があること、蓄電池自体の容積・重量が大きいことが、鉄道車両としての実用化での欠点になっている。
外国ではドイツの連邦鉄道(現ドイツ鉄道)が蓄電池式の電車をローカル線に使用していた。蓄電池は夜間電力の有効利用として充電を考えればメリットにもなるが、現在の鉛蓄電池では鉄道車両にしてもバス、自家用自動車にしても実用化・普及はむずかしい。そのため燃料電池を使ったものが計画されている。
[西尾源太郎]