蔵元(琉球)(読み)くらもと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「蔵元(琉球)」の意味・わかりやすい解説

蔵元(琉球)
くらもと

近世琉球(りゅうきゅう)で宮古(みやこ)、八重山(やえやま)、久米島(くめじま)に置かれた官衙(かんが)のこと。蔵許とも書く。設置の年代は不明であるが、近世初頭にはすでに存在し、地域支配のうえで重要な役割を演じている。宮古は平良(ひらら)に、八重山は石垣(いしがき)に、久米島は仲里(なかざと)・具志川(ぐしかわ)の両間切(まぎり)にそれぞれ置かれたが、代表的なものは宮古、八重山の蔵元である。蔵元の行政機構の最高ポストは在地の頭(かしら)(3人制)であり、その下に勘定座(かんじょうざ)、系図方(けいずほう)などの座(ざ)、方(ほう)(行政上の部署)があって、それぞれ担当役人が勤務していた。各村(むら)、島々には首里大屋子(しゅりおおやこ)、与人(ゆんちゅ)、目差(めざし)などが蔵元から派遣されて統治にあたった。なお、首里王府は、在番(ざいばん)と称する役人を現地に派遣して、頭以下の蔵元の管理を行わせた。現在、久米島町の真謝(まじゃ)には蔵元の建物はないが当時の石垣が残っており、旧仲里間切蔵元石牆(せきしょう)として国の重要文化財に指定されている。

[高良倉吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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