薩摩国正税帳(読み)さつまのくにしようぜいちよう

日本歴史地名大系 「薩摩国正税帳」の解説

薩摩国正税帳
さつまのくにしようぜいちよう

成立 天平八年

原本 正倉院

解説 天平八年の薩摩国の収支決算報告書である。同じものが三通作成され、政府に提出された二通のうち一通の紙背が同一八年に金光明寺写経所の帳簿類として用いられ、正倉院文書として現在五つの断簡が伝わっている。その内訳出水郡が一八行(D断簡)高城郡が八〇行(A・B断簡)、薩摩郡が一三行(C断簡)、阿多郡四行・河辺郡五行(ともにE断簡)の計一二〇行分である。正倉院文書整理の過程でA―D断簡は正集四三に入れられたが、配列は混乱しており、E断簡はのちに続々集第三五帙第六巻に収められた。当時の薩摩国の財政状況や隼人支配の実態を知るうえで貴重な史料とされる。

景印本 正倉院古文書影印集成二(A―D断簡)

活字本 大日本古文書二・寧楽遺文上・復元天平諸国正税帳

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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