薩摩藩邸焼打ち事件(読み)さつまはんていやきうちじけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「薩摩藩邸焼打ち事件」の意味・わかりやすい解説

薩摩藩邸焼打ち事件
さつまはんていやきうちじけん

幕末、江戸三田(みた)の薩摩藩邸が幕命により襲撃された事件。1867年(慶応3)10月ころから、西郷隆盛(たかもり)の指示で小島四郎(相楽総三(さがらそうぞう))らは浪士数百名を同藩邸に糾合、「御用盗」なる名目市中およびその周辺で辻斬(つじぎ)り、強盗火付けをはたらき攪乱(かくらん)工作を行った。この挑発行為を憤慨した市中取締の庄内(しょうない)藩兵を中心に幕府・諸藩兵は、12月25日早朝薩摩藩邸と支藩佐土原藩邸を襲い、焼打ちした。薩藩留守居役(るすいやく)篠崎彦十郎(ひこじゅうろう)ら数十名が闘死、浪士取締益満休之助(ますみつきゅうのすけ)は捕らえられ、伊牟田尚平(いむたしょうへい)、小島らは藩船翔鳳(しょうほう)丸で兵庫まで逃走した。この報が大坂城中の旧幕臣、会津・桑名藩士らに伝わるや鳥羽(とば)・伏見(ふしみ)の戦いが始まった。

原口 泉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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