薬剤性過敏症症候群

六訂版 家庭医学大全科 「薬剤性過敏症症候群」の解説

薬剤性過敏症症候群(DIHS)
(皮膚の病気)

 薬剤によって誘発される重篤な皮膚疾患で、多くは薬剤の内服を開始して2週間から6週間ののちに38℃以上の高熱咽頭痛(いんとうつう)、リンパ節腫脹(しゅちょう)、全身倦怠感(けんたいかん)、食欲不振などのかぜのような症状と前後して皮膚に発疹が出現します。薬剤の内服開始から数カ月あるいは数年してから発症する場合もあるとされています。

 発疹は紅色の斑状の紅斑(こうはん)や、少し隆起した点状の丘疹(きゅうしん)が全身に多発し、しばしば顔がはれます。一度症状がよくなりかけたのちに再び悪化することがあります。

 血液検査で白血球増多やCRPの上昇、肝機能障害がみられ、異型リンパ球や好酸球増多を伴うこともあります。まれにBUNクレアチニンの上昇を認める腎障害を伴う場合もあります。

 原因となる薬は、カルバマゼピンフェニトインフェノバルビタール、ゾニサミドなどの抗けいれん薬や、アロプリノール(痛風治療薬)、サラゾスルファピリジン(抗ハンセン病薬、皮膚疾患治療薬)、メキシレチン(抗不整脈治療薬)、ミノサイクリン(抗生物質)などがあげられます。また、薬剤アレルギーに加えて、免疫異常により体内に潜んでいたヒトヘルペスウイルス­6が再活性化することによって重篤な症状が誘発されると考えられています。原因薬の服用を中止することが必要で、入院のうえステロイド薬の点滴あるいは内服治療を行います。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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