薬
山
やくらいさん
小野田町の町域中央、船形山北麓の高原にある富士山型の孤峰で、標高五五三・一メートルにすぎないが遠方からも目立つ整った山容のため、加美富士ともよばれて親しまれている。大崎平野西端の独立峰であるため、四周の眺望で知られ、「味ヶ袋安永風土記」にも山頂から遠望できる東西南北の山名が記される。「観蹟聞老志」に芋沢・味ヶ袋・鹿原にまたがると記され、山頂の薬師堂にちなむ山名伝説、源義家に付会する矢嚼山という土俗伝承をも付記している。山頂に奥院のある薬莱神社の里宮は東麓上野目にあり、近世には上野目の羽黒派修験大宮寺が司祭した。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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