虎口を逃れる(読み)ここうをのがれる

故事成語を知る辞典 「虎口を逃れる」の解説

虎口を逃れる

たいへん危険な状態から、なんとか逃げ出すことのたとえ。

[使用例] 虎口をのがれた相模さがみ兵たちが、多摩川かわらはしって、ほっと一息ついた時[柴田錬三郎*戦国旋風記|1958]

[由来] 「史記しゅくそんとう伝」に載っている話から。紀元前三世紀の終わりごろ、しん王朝の時代の中国でのこと。反乱の報告に接した皇帝が、学者たちに情勢を問うと、多くの学者は「危険な反乱です」と答えました。しかし、叔孫通という学者だけは、「単なる盗賊だから、心配する必要はありません」という答え。そこで皇帝は、危険な反乱だと答えた学者たちを殺してしまいました。その態度を批判された叔孫通は、「私はほとんど『虎口を脱する(虎の口の中から逃げ出す)』ことができないほどの危機に立たされていたのだ(ああ言わなければ、自分も殺されていただろう)」と言って、都から逃げ出してしまった、ということです。

〔異形〕虎口を脱す。

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