デジタル大辞泉 「術無し」の意味・読み・例文・類語 ずつ‐な・し【▽術無し】 [形ク]《「ずちなし」の音変化》どうにもしようがない。せつない。つらい。じゅつない。「白髪蒼顔なる形も―・き事もよく相似たるを」〈四河入海・二一〉「ああ―・い苦しいと悶えわななきそぞろ言」〈浄・油地獄〉 すべ‐な・し【▽術無し】 [形ク]どうしてよいかわからず困りはてるさま。どうしようもない。「かくばかり―・きものか世の中の道」〈万・八九二〉 ずち‐な・し【▽術無し】 [形ク]なすすべもなく困り果てるさま。じゅつない。ずつない。「妹のあり所申せと責めらるるに―・し」〈枕・八五〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「術無し」の意味・読み・例文・類語 ずち‐な・し【術無】 〘 形容詞ク活用 〙 工夫したり対処したりする方法がなく、困りきってしまう。どうしたらよいかわからなくて困る状態である。なすすべを知らず苦しい。どうにもやりきれない。じゅつない。ずつない。[初出の実例]「いもうとのありどころ申せ、いもうとのありどころ申せとせめらるるに、ずちなし」(出典:枕草子(10C終)八四)「あまり責めしかば、喉腫れて、湯水通ひしも術無(ズチナ)かりしかど」(出典:梁塵秘抄口伝集(12C後)一〇)術無しの補助注記( 1 )「すべなし」の「すべ」に「術」をあてたものが音読されて生じたと説かれるが、「術」に「すべ」の古訓はない。( 2 )近世になると「ずつない」という形で上方語として用いられ、現在でも関西を中心に広い地域で使用がみられる。術無しの派生語ずちな‐げ〘 形容動詞ナリ活用 〙術無しの派生語ずちな‐さ〘 名詞 〙 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例