改訂新版 世界大百科事典 「裸茎植物」の意味・わかりやすい解説
裸茎植物 (らけいしょくぶつ)
Psilopsida
維管束植物を主として葉の性質で四つの系統に区分した場合,葉も根も分化しない植物群を裸茎植物(英名psilophytes)といい,マツバラン類などともいう。現生種はマツバラン属とイヌナンカクラン属の2属に分類され,それぞれ独立の科として扱われるが,化石は知られておらず,デボン紀に滅んでしまった古生マツバラン類とは直接の系統関係はないとみなされている。古生マツバラン類は,葉も根もない一つの系統群と考えられていたが,茎の表面に付属物をつけず,茎が二叉(にさ)分枝し,胞子囊を頂生するライニア群,茎の表面に付属物をまれにつけ,茎は三叉以上に分枝することがあり,胞子囊は頂生するがしばしば反曲するトリメロフィトン群,茎の表面に葉的付属物をつけ,茎は単軸分岐し,胞子囊は軸生のゾステロフィルム群の3群に分かれることが明らかとなっている。現生種は,ウラジロ科近縁のシダ類であるとする説や,小葉植物と類縁があるとする説などもある。
執筆者:岩槻 邦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報