製造間接費(読み)せいぞうかんせつひ(英語表記)manufacturing expense; factory overhead

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「製造間接費」の意味・わかりやすい解説

製造間接費
せいぞうかんせつひ
manufacturing expense; factory overhead

2種以上の製品の製造に共通的に発生するために個々の製品別の発生額を直接的に認識できないか,あるいは直接的に認識し集計する必要のない製造原価をいう。製造間接費は間接材料費,間接労務費,間接経費に分類され,間接材料費には補助材料費,工場消耗品費,消耗工具器具備品費が,間接労務費には間接作業賃金,間接工賃金,手待ち賃金が,間接経費には福利施設負担額,厚生費,減価償却費賃借料などが含まれる。2種以上の製品に共通して認識されるもので,配賦計算をしなければならないが,製品への配賦計算を正確に行うために部門別計算が行われる。製品別計算における製造間接費の配賦は実際原価計算でも予定配賦率によるのが原則である。

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百科事典マイペディア 「製造間接費」の意味・わかりやすい解説

製造間接費【せいぞうかんせつひ】

一定単位の製品についてその発生が直接的に認識されない原価。間接材料費,間接労務費,間接経費からなる。各種の配賦基準に基づいて製品に配賦される。工場設備の巨額化,工場管理部門等の補助部門増大などによって,原価要素に占めるその割合は高くなってきている。

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世界大百科事典(旧版)内の製造間接費の言及

【経費】より

…経費のうち,鋳型の経費や外注加工費のように特定の製品との関係を明確に後づけることができるものを直接経費と呼び,減価償却費,修繕費のように明確に後づけできないものを間接経費と呼ぶ。間接経費は,間接材料費(製造に費やされるが特定の製品との関係を明確に後づけることができない材料費),間接労務費(同様の労務費)とともに製造間接費(〈直接費・間接費〉の項参照)を構成する。また経費は,消費額や発生額を月別に把握する方法の相違により,(1)減価償却費や賃借料のように数ヵ月分を一括して計算ないし支払った額をもとにして把握する月割経費,(2)電力料や水道料のようにメーターで消費額を測定して把握する測定経費,(3)外注加工費や支払運賃のように支払伝票などの証憑(しようひよう)書類で発生額を把握する支払経費,(4)棚卸減耗損,仕損費(仕損品が発生した場合の原価)のように必ず発生するとは限らないが発生の際にその事実に基づいて把握する発生経費,に分類されたり,あるいは操業度との関連で,その変動に応じて変化する変動経費(変動費)と変化しない固定経費(固定費)に分類されたりする。…

【原価】より

…(2)原価を製品との関連で分類すれば,その発生が製品に直接に後づけられる原価を直接費,後づけられない原価を間接費という(〈直接費・間接費〉の項参照)。(3)上記の分類を組み合わせれば,製品の製造原価は,直接材料費(素材費,買入部品費など),直接労務費(機械工賃金,組立工賃金など),直接経費(外注加工賃など),製造間接費(補助材料費,工場消耗品費,事務員給料,減価償却費,電灯電力料,ガス代,水道料など)に分類される。業種によっては,原料費と加工費に分類することがある。…

【直接費・間接費】より

…一定単位の給付の製造または販売に関して発生したことが直接的に認識できる原価要素を直接費といい,そうでない原価要素を間接費という。直接費(直接原価ともいう)は製造直接費と販売直接費に分かれ,間接費も製造間接費(減価償却費,火災保険料など)と販売間接費(広告宣伝費,運搬費など)に分かれる。直接費と間接費の区別はかつては計算手続によっていた。…

※「製造間接費」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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