複会計制度(読み)ふくかいけいせいど(その他表記)double-account system

日本大百科全書(ニッポニカ) 「複会計制度」の意味・わかりやすい解説

複会計制度
ふくかいけいせいど
double-account system

19世紀のイギリスで、鉄道業や電灯・ガス・水道などの公益事業において採用された会計制度。複会計制度という用語は企業資本を固定資本運転資本とに分別経理することに由来する。固定資本については資本勘定という財務表において、株式や社債発行あるいは長期の借入れなどによる固定資本の調達源泉とその具体的投下物たる土地、車両、設備などの固定資産が対照表示される。運転資本については一般貸借対照表において、短期借入金・買掛金などの源泉とその使途たる流動性資産が対照表示される。この会計制度は、鉄道業などにおける固定資本の重要性に着目し、これを運転資本と分別処理することによってその維持を図ることを目的とした。

[長谷川哲嘉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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