日本大百科全書(ニッポニカ) 「西ケープ」の意味・わかりやすい解説
西ケープ
にしけーぷ
Western Cape
南アフリカ共和国南西部の州。1993年末の暫定憲法の成立により、従来の4州が9州に再編されたのに伴い、旧ケープ州が東・西・北の3州と北西州の一部に4分割されて成立した。面積12万9370平方キロメートル、人口372万1000、うち黒人67万6000、白人88万6000、カラード(混血)212万5000、インド人3万5000(1996)。都市化率86.5%。州都はケープ・タウン。アパルトヘイト期のカラード優先政策によりカラード人口が突出して多い。内陸部カルー地域が人口希薄であるのに対し、ケープ・タウンを中心とする海岸都市地域に人口と産業が集中している。南アGDP(国内総生産)に占める西ケープ州の割合は13.2%とハウテン州、クワズールー・ナタール州に次いで高く、産業部門別にみると製造業、商業、金融・保険業、運搬・通信業、農業の順となっている。1人当りの所得も1万4764ラント(1994)とハウテン州に次ぎ第2位。内陸部カルー地域は牧羊を中心とする畜産が盛んである。海岸線に沿い風光明媚(めいび)な所が多く観光資源としても有望である。
[林 晃史]