西黒部村
にしくろべむら
[現在地名]松阪市西黒部町・高須町
櫛田川河口に位置し、北は伊勢湾に面し、西は金剛川河口となる。南は古井村に続く。中世には伊勢神宮領黒部御厨が成立し、黒部あるいは西黒部とよばれた。中世後期には北畠氏被官沢氏の支配下にあった。古くから塩業で知られ、「五鈴遺響」にも「食塩ヲ焼テ出ス。方俗黒部塩ト賞ス」とある。沢氏古文書(内閣文庫蔵)の弘治二年(一五五六)五月八日の沢太菊丸宛北畠具教御判条々七ヵ条の一つに、「一、西黒部塩竈公事、別而依有子細、為新御恩、御領掌之上者、不可有相違事」とあり、戦国期に当地の塩業竈公事が沢氏の領掌となっている。永禄八年(一五六五)の船々聚銭帳(伊勢市大湊支所蔵)に「十一月廿二日百文ニ米九升取くろへ舟」と記され、中世末、大湊(現伊勢市)を中心とする海運流通の範囲に当地も含まれていたと考えられる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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