松阪市(読み)マツサカシ

デジタル大辞泉 「松阪市」の意味・読み・例文・類語

まつさか‐し【松阪市】

松阪

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「松阪市」の解説

松阪市
まつさかし

面積:二〇八・一九平方キロ

県の中央部にあり、東西二二・七キロ、南北一五・五キロに及ぶ。北東部は伊勢湾に面し、緩やかな海岸線が続き、その中央部に松阪港がある。北は三渡みわたり川をもって一志郡三雲みくも村に接し、北西部は同郡嬉野うれしの町に続く。西は白猪しらい山を中心とした山地を経て飯南いいなん郡飯南町に続く。南は高見たかみ山系に源を発する櫛田くしだ川を境として、多気たき郡多気町・勢和せいわ村に接している。市域東部は櫛田川の沖積平野が広がり、多気郡明和めいわ町に続く。市域最東部は櫛田川の分流はらい川により明和町と接する。

飯高いいたか郡の東部と飯野いいの(明治二九年以降飯南郡)を中心に、一志郡と多気郡の一部を含めて形成される広大な市域のうち、山林が約四割、田畑地が四分の一を占めている。古代より参宮道(参宮古道)が開かれ、伊勢湾の交易圏にも含まれ、とくに近世以降、蒲生氏郷の開府以来伊勢参宮街道・和歌山街道の分岐点・宿駅として交通の要地でもあり、商業都市として発展した。明治以前はおもに「松坂」と書かれたが、明治二二年(一八八九)町村制施行以後は「松阪」と記す。「まつざか」とも読むが、地元では「まっさか」と発音。

〔原始〕

坂内さかない川流域の小黒田こくろだ駅部田まえのへた町の台地面から先土器時代のナイフ形石器が採取されており、これが市内で知り得る最古の文化遺物である。先土器時代終末の特徴的な石器である有舌尖頭器が前記地域の周辺および櫛田川流域で見つかっている。縄文時代の遺跡は二七ヵ所が知られ、おもに櫛田川筋の段丘面ないしは坂内川筋に分布している。押型文土器を出す早期の遺跡はとりわけ櫛田川筋に集中し、代表的なものとして大原堀おおはらぼり鐘突かねつき射原垣内いばらがいと遺跡があげられる。坂内川筋には前期に新田町しんでんまち遺跡、中期には笠松かさまつ遺跡などが形成されている。晩期の土器を出す遺跡は二ヵ所である。

弥生時代になると遺跡数も四〇ヵ所ほどとなり、立地も前記二河川流域のほか、金剛こんごう川・堀坂ほつさか川といった小河川筋にも及んでいる。ほとんどは後期のものであり、前期の遠賀川系統の土器を出す遺跡は分れ谷わかれだに遺跡などに限られ、台地末端に営まれた小規模なものである。中期になると遺跡数も増え、涌早崎ゆはやざき遺跡のように低地への進出が目立つ。後期の遺跡は市内各所に及び、一万平方メートルを超す草山くさやま遺跡もあり、集落の周囲に断面V字形の環濠をめぐらした杉垣内すぎがいと遺跡も現れる。土器としてはたこ遺跡から出土した宮廷式土器が注目される。

古墳は市内で三三〇基ほど確認されており、その分布はおおむね弥生時代遺跡の分布地域と重なる。

松阪市
まつさかし

2005年1月1日:松阪市と一志郡三雲町・嬉野町、飯南郡飯南町・飯高町が合併
【三雲町】[変更地名]三重県
【嬉野町】三重県:一志郡
【飯南町】三重県:飯南郡
【飯高町】三重県:飯南郡
【松阪市】三重県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「松阪市」の意味・わかりやすい解説

松阪〔市〕
まつさか

三重県中部,伊勢湾に臨み,櫛田川雲出川などの流域に広がる市。東部には伊勢平野が広がり,西部は高見山地紀伊山地を隔てて奈良県に接する。 1889年町制,1933年市制施行。第2次世界大戦後に松江村,朝見村,伊勢寺村,機殿村を編入。 1954年から 1957年の間,花岡町と西黒部村,港村,東黒部村,阿坂村,松ヶ崎村,松尾村,宇気郷村 (一部) ,漕代村,射和村,茅広江村,大石村,大河内村,櫛田村の各村を編入。 2005年嬉野町,三雲町,飯南町,飯高町と合体。地名は松坂 (阪) 城にちなむ。中心市街地の松阪は天正 12 (1584) 年,蒲生氏郷が江州日野から 12万石で移封されてから計画的に造成された旧城下町。同 16年氏郷は居城を当初の松ヶ島から現在の松阪城跡のある四五百森 (よいほのもり) の丘に移築,参宮街道,熊野街道をつけ替えて城下に引き込み,日野から商人を移住させて町家を開いた。現在も鋸歯状の狭い街路網や当時の家並みが残る。氏郷が会津若松城主となったあと,古田重勝が入封 (→松坂藩 ) 。元和5 (1619) 年藩は和歌山藩に編入され,以後,城は代官所となった。城下町時代から伝統的に商業が中心。江戸時代,近郷で産する松阪木綿や,丹生 (多気町) の水銀を原料とする伊勢白粉を商う松阪商人は全国で活躍,大口港 (松阪港) は出入りの船でにぎわった。そのなかから豪商三井家が生まれた。工業は従来の紡績と紀州材の製材業のほか,1960年代中頃からガラス,ニッケル,電機など多様な工業が立地。松阪牛の産地としても知られ,米作や野菜,チャ (茶) などの栽培が行なわれる。海岸はノリ漁場。本居宣長の生地・居住地で,旧宅の鈴屋 (すずのや) は国の特別史跡として松阪城跡公園に移築保存されている。その他,宝塚古墳向山古墳 (ともに国指定史跡) ,清光寺など,旧跡や古刹は数多い。不動院ムカデラン群落は国の天然記念物。市域の一部が室生赤目青山国定公園香肌峡県立自然公園赤目一志峡県立自然公園に属する。市街地を JR紀勢本線が通り,JR名松線と参宮線の結節点。伊勢中川は近畿日本鉄道山田線,大阪線,名古屋線の接続駅。伊勢自動車道が東部を縦断し,インターチェンジがある。面積 623.58km2。人口 15万9145(2020)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android